軍団規模の司令官が、どう考え、どう行動したか
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この本は、第一次湾岸戦争の時の第7軍団司令官だったフランクス陸軍大将(退役)が、自ら記述した本で、軍団規模の司令官が、どう考え、どう行動したかの本である。私達が映画で見る軍隊は、映画の画面の大きさや主人公を追う必要から、分隊や小隊や中隊など小規模なものが多い。しかし、この本では、3個の師団と1個の連隊からなる戦闘群と、それを支える兵站群を合わせると総数14万7千人からなる機甲軍団が、横100Km、縦深300Kmの戦域に展開して、どのように戦ったかという記録である。この本は、上下2巻の本であるが、トム・クランシーの助言もあるのだろう、堅苦しい記録物にはなっておらず、あたかも映画を見るかのように、目の前に壮大なスペクタクル・ドラマが広がり、一気に読み通せる。軍隊は、ある意味、究極の組織である。大規模な組織である軍団が、どのように運営されているかを知るには、非常に参考になる本である。なお、フランクスは、ベトナム戦争の時、重傷を負い左足切断をし、義足をつけて職務に復帰し、大将までなった努力の人である。