そういう生き方
★★★★☆
1978年に出た単行本の文庫化。
多岐川作品のなかでも代表作のひとつとされる一冊である。
650頁という厚さを感じさせないストーリー展開であった。複雑な人間関係、次々と変わる力関係、魅力的な女性たち、そして物語が進むなかでの主人公の「変化」。
悪者しか出てこない物語と言って過言でないと思うが、登場人物のそれぞれに魅力があり、キャラが立っている。悪の放つ光というか、汚濁の持つ誘惑というか。多岐川作品ならではの迫力がある。
ただ、私にはちょっと納得いかない部分もあった。主人公の描き方はこれで良かったのかね。