法人税の考え方を理解できる本
★★★★☆
最近何かと話題の法人税だが、その法人税の有効な節税対策を本音で語っている本である。
世の中、一定の期間しか節税効果がないにもかかわらず、永遠に節税効果があるかのようなトークをする営業マン、特に保険会社や不動産会社が溢れているが、この本を読めば、彼らがいかにインチキか、いやきちんと説明していないか、がよく分かる。
筆者いわく、有効な節税対策は、1.課税の繰り延べではなく、永遠に負担が軽減するもの、2.会社が余計な支出をしなくてもいいもの、3.会社のPLに損失が計上されないもの、のすべてを満たしているものとしているが、まさにそうだと思う。
もっとも、そんないい節税対策は多くないので、結局、税法の趣旨を正確に理解して、節税を行うべきなのである。
そうしなければ、必ず後で否認される。
本書は、法人税の考え方を分かりやすく理解できるという点でお勧めの一冊である。
顧問税理士が力量不足の場合どうするの?
★★★★★
昨年暮れに銀行員がみんな読んでた光文社新書『法人税が分かれば、会社のお金のすべてが分かる』の実践編という位置づけで書かれています。
内容は大企業向きというよりは、個人経営・中小企業から中堅企業までを対象にしているようです。
最初に法人税の仕組みの中に、会社の資金繰りを苦しくするシステムがビルトインされていることを説明して、続いて、その対策を解説しています。
著者の持論は、利益の20%の税負担は仕方ないと割り切って、30〜40%を超える税率での法人税や社会保険料を回避する方法を推奨しています。顧問税理士の力量によって、実践できる会社と実践できない会社とがあるプランも出てきますが、では、顧問税理士の力量不足の場合には、どうすればいいのか? それは、解説されていないので、その場合はあきらめるのか、税理士を交代させるのか?
生命保険で節税できるなどといった、売らんが為の節税方法が巷にはあふれているけれど、それらとは180度違う方向を向いて会社経営と税金との関係を考えさせてくれる、珍しく良い本であると思います。
会社のお金に関心のある人に、おすすめできます。