個人的に得心がいったのは次元縮尺です。気象は経度・緯度・高度に時間変化を加えた4次元の事象として捉えられますが、アニメーションを除けば、見やすい図は2次元です。つまり、4つから2つを選ぶ(4C2)ので6種類の図化法があります。それが、①水平分布、②東西高度分布、③子午面分布、④東西時間断面、⑤南北時間断面、⑥高度時間断面、です。この説明で、一気に図の特徴の整理がつきました。
気象力学では波動として気象を捉えることも新鮮でした。私自身は理学の出身ではないので、今一つ気象を捉える勘所が分からなかったのですが、本書の第6章は多くの示唆を与えてくれました。6章で紹介されるスペクトル解析は良くお目にかかる手法ですので、自分が使わない場合でも一読しておくと助かるかもしれません。
随所に「Yanai-Maruyama wave」が代表例として登場しすぎるように感じますが、それはご愛嬌でしょう。やや値が張りますが、気象学の初学者には一読をお勧めです。