最も洗練されてるのは表紙
★★★☆☆
この本で会計ノウハウを身につけるのは不可能です。
ファンタジー+会計という切り口は面白いと思いますが、
小説としては人物描写が陳腐だし、
会計ノウハウ本としては内容が薄すぎます。
ポイントだけまとめて図解などまじえて説明するスタイルのほうが
分かりやすい本になったと思う。
ただ試みは面白いし、会計に興味のない人に間口を広げるという意味でも
悪い本ではないと思う
ということで★3つ
わかり易く+αを目指した本
★★★★★
この本の特徴は、わかり易く+αを目指した、その意思が伝わってくる、という点にある。わかり易く、理解しやすくするための方法として、図を入れる、絵を入れる、表を入れる、表現をくだく、等々が考えられる。本書では、わかり易く、はもちろん、他人事としてではなく、読む者に当事者意識を持たせ、読ませる内容を目指している、そんな意思が伝わってくる。具体的にいうと、物語の中に、会計のあれこれを織り込んでいる。
北条は、あの世から現世への舞い戻りを賭けて、「不幸」の入口に立つ五人を「幸せ」に導くべく、コンサルティングを行う。元アイドルにしてアパレル関係の経営者、アニメオタクの経営者、経理などズブの素人の女性、熱血部長、そして、北条愛娘の婚約者。
元アイドルとかアニメオタクに対する北条のあたりは、厳しい。私は元アイドル並に、というか、それ以上に会計に関して無知で、アホなので、一緒に叱られているような気分になったり、少し気がめいったり、なんだか、情けなくなったりした。
それにひきかえ、自分の娘には甘いせいか、経理に疎い女性に対する北条のあたりは、やわい。
北条がコンサルティングをするために憑依する対象も、なかなか、おかしい。詳しくは、本書を読んでのお楽しみ。
気に入った文章を、ノートに写してみた。たとえば、
チームというのは、どんな場合でも、目標との『ズレ』を確認し合い、よりよい方向に進むようにみんなで考えるべきなんじゃよ。それを繰り返すことで、社員全員が自分の仕事に対して、『なぜ、そうなったか?』と行動を見直すことにもつながるんじゃ。
今、儲かっている組織が生き残るわけでも、結束力が強い組織が生き残るわけでもない。過去のやり方を反省し、変わり続けることができる組織こそ、生き残ることができるんじゃ。
ビジネスって、小さなアイデアによって、現場で地道に改善し続けることで、初めて儲かるものなのよ。
重要なのは、自分の『ゴール』を見つけて、それに向かって走る決意を持つことなんだ。
彼女にとっての『ゴール』って、(略)きっと『今の自分の殻を破ること』なんだって思ったんだ。今までの自分を変えるという『決意』をした時点で、『絶対に幸せになれる』って、俺は判断したんだよ。
苦しいことだって、自分が納得できる道なら、それを歩むことが『幸せ』にだってなる。
北条のあの世での案内役である天使Kは、〈ハイフン〉と呼ばれる携帯電話を所持している。〈ハイフン〉=〈‐〉は、何かと別の何かとをつなぐ記号だ。さてKの〈ハイフン〉は、北条に何をつなぐだろうか? これまた、本書を読んでのお楽しみ。
あくまできっかけ気になる本
★★★★☆
小説仕立てで会計の理解をしようという趣旨で書かれた本だと思います。
ある程度会計の知識がある人が、実際のビジネスの現場で会計を活用するためや
ビジネスを会計の視点から見るなどの目的で読むのがいいかと思います。
初心者にはちょっと厳しいかなという感じです。
内容については、読んでいる最中はなるほどと思い、頭がよくなった感じになりますが
読後は忘れてしまっていますから、どう活かしていくが重要だと思います。
簿記の勉強に「血肉」を加えるのに最適
★★★★★
簿記というのは体系化された技術であり、ルールをひたすら丸暗記しなければいけない部分が多い。法律なんかもそうなのだが、とりあえず覚えなきゃいけないことがたいへん多いので、「なぜこういうルールが定められたのか」「このルールが現場においてどうワークしているのか」という部分についての理解がおろそかになりがちである。
本書は、簿記のルールが現場でどう機能しているのかを活写しており、いたってリアルで面白い。特に工業簿記を習ってる学生さんにとっては有益だろう。無味乾燥な簿記の勉強に、「血肉」を加えるという効果がある。簿記の勉強が面白くなる本。(なので、逆に言うと簿記や会計に関心が少ない向きにはまったくお勧めできない。ご注意を。)
前提知識が必要
★★★☆☆
私は会計の知識が全くありません。
この作品、そんなことはどこにも書かれていませんが、見た目で超初心者が読んで分かる会計の本かと思いきや、前提知識を必要とすると思われます。
とくに第一章の途中から、ある程度の税金の知識がないと、正確な理解はできないのはないかと思いました。
用語や前提知識をWEBや他の本で調べつつ読むことになり、使い勝手がいいと感じませんでしたが、会計を勉強する機会を与えて頂いた本でした。
もう少し、体系的にまとまってくれてると、より良かったかと。