本書は、近年のソフトウェア開発環境における著しい変化を踏まえて、かつてのメインフレーム主体の開発では考慮されることのなかった様々な問題点を指摘し、その具体的な対処方法の指針をまとめた本です。今後もソフトウェアのカスタマイズやコンポーネントの再利用、あるいはフリーウェアの採用など新しい開発手法は増加の一途をたどる可能性が高いので、その法的権利や責任帰属等の明確化の必要性はより一層顕著になってくるものと思われます。その意味では本書はソフトウェアベンダーのみならず、開発を委託するユーザにとっても一読する価値のある内容であるといえるでしょう。
契約書のモデルも掲載されていて実用性も非常に高いのですが、あえて足りない部分を指摘するとすれば、テクニカルタームの強調と逆引きのための索引でしょうか。もっとも全体的に編纂という性格が強いようなので、この点はやむを得ないのかも知れません。