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包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書)

価格: ¥821
カテゴリ: 新書
ブランド: 筑摩書房
Amazon.co.jpで確認
傷を抱えた現代の若者たちを描く ★☆☆☆☆
社会派の日本人作家による中編小説。

作者はそれまで、シリアスだが読みやすく、あるかなきかの救いを見出そうとするような小説を発表してきたため、本作もその路線を期待したが、当てが外れた。
救いが前提にある印象の物語で、どうしても読み進めたいという気にはなれなかった。

ヒューマニックで思いやり深い作風が好みという読者には合うかもしれない。
この本を、清々しいファンタジー小説と評したい。 ★★★★★
主人公ワラは女子高校生。
両親は離婚し、母と弟の三人暮らし。
ワラ、は「笑美子」の「笑」からとったニックネームだけれど、
時どき「ナキ」になってしまう、ちょっとだけ感受性の強い、でも普通の女の子。
手首に巻いた包帯は、決してリストカットを隠すためではない。
そんなワラが、病院の屋上で知り合うのがディノという男子高校生。
彼と知り合ったことで、ワラは「人の心が傷ついた場所」に包帯を巻くことで、
その人の心が少しだけ軽くなるということに気づき、良い意味で友人たちを巻き込んでいく。
誰にでも、人には分かってもらえそうにもない傷がある。
それは登場人物に限らず、あなたにも、わたしにも、ある。
思わず、人には言えない傷の場所を思い出し、そこに包帯が巻かれている姿を想像する。
「そこで傷ついたのだ」と自分自身が認めること、他人からも認めてもらえること。
それは確かに癒しにつながるようで、涙腺が軽く刺激され、癒されたような気もする。

全体的に読みやすく、短時間で読んでしまえる。
読後感は爽やかで、読んで損をすることはない。
お勧めである。

ちなみに、天童荒太は初体験。
若い人にお勧め★ ★★★☆☆
とことん暗い。
見方によっては少年少女の傷を一つずつ記述していく感じ。

人生において誰もが経験することであっても、ぶち当たっている当時の当事者にとっては深刻な問題であったりする。それらを共感的に描く。

そして、その傷を受け入れることで主人公(たち)は成長していく。包帯を巻いても直らないけど、傷みを受け入れること。自分の五感を開くこと。このことを通じて彼女たちは生き生きとした彩のある世界を感じられるようになる。



中高生の出口のない悩みみたいなものを描いたという意味では、「蹴りたい背中」を思い出したりした。



本には賞味期限があるという。
この説に従うならば、中学や高校時代、あるいは中高生に子供がなる時期に読むといいだろう。

1ページ目の書き出しや、お金に関する考察など、はっとさせられる描写が時々出てくる。とても素晴らしい可能性が秘められていると思う。
10代の代わりに言いたい ★★☆☆☆
物足りない。10代にもわかりやすくと心がけたにしても、
だからといって物足りなくてよいはずはない。発想が良いのに失速している。
途中に「〜報告」として各人のその後の報告がはさまるが、いかにも表層的だ。
NGO、国連勤務、有名ジャーナリストと華々しいが、もっとリアルな未来はないのか。
10代に夢をもたせるために、かっこいい未来をもってきたのか。

全篇わかりやすい話に終始する。傷をたくさん扱いはしても羅列でしかない。
それらが互いに重層的にからみあって深まるわけでもない。
そこそこ暗い傷であればそこそこのシーンが描けるといった安直なシーンの連続。
せっかく10代が手にとってくれるのに、10代ならこの程度でいい、
この程度なら受けるだろうと、「ライトさ」に流したのなら、
馬鹿にするなと10代の代わりに言いたい。
天童荒太のジュブナイル小説 ★★★★☆
作者の以前の作品とは異なり、明らかに読者を若者にしぼって書き下ろした作品だと思います。今までの作品のような暗く、重苦しい雰囲気はありませんが、未成年だからできる無意味な行為、純粋さ、他人を思いやる心にあふれていて、とてもすてきな作品です。ぜひ、子供たちに読んでもらいたい本ですね。