『Melody A.M.』は、ノルウェーのグループ、ロイクソップのデビュー・アルバム。巷では「新たな古典」と喧伝（けんでん）されている。それだけに「ありがちなチル・アウト系」とは大違いだ。内容豊かな本作は、温かいごちそうであり、魂の夜食なのだ。収録曲は、ロイクソップの置かれていた環境を反映している。深い悲しみに彩られた「She's So」は、ほぼ1日中真っ暗な故郷の冬に捧げられた曲だし、軽快でぬくもりのこもった「Royksopp's Night Out」は、まさしく白夜のダンス・ナンバーといえる。エールやグルーヴ・アルマダといったバンドの伝統を受け継ぎ、本作はダンス・フロア向けといっても通用しそうなサウンドとなっている――もし心地よいソファーのような感触を捨て去ればの話だが。ほかのアーティストにも影響を与えそうな「Poor Leno」は、ロイクソップがダンス・ナンバーをつくったらどうなるか（実際つくっているのだが）を示すヒントになっている。さて、結論。『Melody A.M.』を聴けば、“ザ・ソップ”の関わったほかの作品に片っ端から手を出したくなるだろう。（Ruby Tuesday, Amazon.co.uk）