また、同書の著しい特長として、はしがきにもあるように、同書が「ペダゴーギッシュ(教育的)」な観点から執筆された「教科書」であることをあげることができます。もっとも、いわゆる内田民法ほどオリジナリティにあふれるものではありませんが、それでも、叙述はきわめて平易で、ときには笑いをさそってくれるようなフランクな語り口で「楽しく」読めてしまいます。また、豊富に盛り込まれた図解は、刑事訴訟法の理解には大きな助けになります。
刑事訴訟法について第一歩を踏み出そうとするとき、あるいはある程度勉強がすすんで、頭の中を整理したいときなど、幅広く活用できる一書として推薦できる「名著」といって差し支えないかとおもいます。蛇足ですが、どなたか優れた学者のかたが補訂して同書の命を未来につないでいっていただきたいと願わずにはいられません。