波のように揺れ動く心理描写がいいね!
★★★★☆
3部構成になっているこの作品は第一次世界大戦をはさんで変化していく人間模様をそれぞれの人物の意識を追って行く形で描かれている。たえず揺れ動く心の状態、愛情、悲しみ、何もなしえずに老いてゆくことへの恐れ、がウルフ特有の文体で描き出される。辞書を持ちつつ読み進めてゆくうえでもかなり困難な一品である。複数の人物または作者自身の内的独白がからみあっているゆえ。しかし波のように打ち寄せては返す心の動きを感じられるのは原文ならでは。本の前半はウルフの年表、また後半には用語の注釈が添えられていて、活用しつつ読むことをお勧めします。用紙がわら半紙なのが難点。