主人公木野塚佐平が昔の同僚に声を掛けられて、その男の住まいで話を聞く場面になって私は引き込まれ、以後物語は急進し、そこからは一気に読んだ。
特に、その男が話す縄張り争いは、私は、ひょっとして事実?と思った。なんとなく、伊野上裕伸氏著の「バッタ屋」作品が頭に浮かんだ。
結末は愉快だ。主人公の助手が素晴らしい。
しかし、しかし、主人公の自己描写で、漢字熟語や格言の類の頻発には、正直、途中で辟易した。くどいのだ。気持ちよく読めなかった。そのため、星3つの評価とする。
樋口氏の次作に期待する。