大学生の木村洋介は、2年ぶりに小笠原諸島の父島へ帰省した。到着早々から地元に残る旧友達と再会するのだが、かつての恋人が謎の死を遂げたことから、事件の真相を洋介が探っていく。かつての旧友も、変わらぬ者とすっかり変わってしまった者。そして病からの旧友の死と、短い間に様々なことが洋介に降りかかってくる……
物語では、軽薄さを感じる主人公の洋介ではあるが、再会する旧友達、画家である父親など登場人物それぞれに存在感があり、知られざる恋の歴史が意外な真相となっており、父島を舞台に見所たっぷりの青春ミステリーです。ミステリーというよりも、青春小説の延長がミステリーとなっていて、読後も余韻が残る作品でした。