必然?偶然?の連鎖
★★★☆☆
宝福喜朗という至極目出度い名を持つ定年目前の男が定年後ホタル族を脱し自宅で煙草を吸える権利、いやせめて居間で吸える権利を得るが為、妻と一人娘の願いを聴く事に。その願いとは手に入れれば運気が開くと毎年長蛇の列が出来る有名デパートの福袋を買う事!大晦日から明けて二日までの路上泊二日間の物語。喜朗がもし取引に応じず行列に並ぶ事がなかったならば決して起こりえなかった小さな事件、事件、事件。必然かはたまた偶然の連鎖か、家族に留まらずあれよあれよと波及しついには警察までもが。行列に並ぶ人達にはスポーツバッグをたすき掛けに抱きかかえる挙動不審の男・車椅子に座り付添い人にあれこれ指示する老紳士・ハンドバッグにナイフをしのばせる若い女・落ちぶれたボンボン育ちの古い友人等々。行列の中ばかりでなく外でも次々に事件が起こり収拾不可能とさえ思えたものが次第に繋がりやがて・・・。喜朗は無事福袋を手に出来るのだろうか?