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乱調 (講談社文庫)

価格: ¥1
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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確かに「乱調」だが‥。 ★★★☆☆
パリの航空会社勤務の50代の男性が、息子の死を探るべく帰国し、出会った息子のファンの女子高生と恋に落ちる。主人公の男は、明らかに藤田氏自身と重なります。真実を知りたいはずの主人公が、いつしか息子と女子高生との関係を探っていて、それはやはり中年男の「乱調」なのでしょう。
ただ、どうしてもこの17歳の女子高生に、大人の男性を夢中にするだけの魅力が感じられなくて、「結局「若さ」に惹かれて身を持ち崩した助平な中年男だったねぇ、」という感想に終わってしまうのです。
職人気質の大人の女を描かせたらピカ一の藤田氏だけに、おこちゃまは登場させないで!と思いました。
パリに生きる男が日本で’乱調’を起こす ★★★★☆
カリスマ的ロックグループの一員であった息子が自殺。幼い頃離婚して、疎遠であった父親が息子の死の原因を関係者一人一人に会って探っていく。その中でエキセントリックな美しい女子高生は、亡き息子の自殺現場であるマンションを借りて住むほどの熱の上げようで、父親は戸惑う。しかし、やがてこの少女の謎めいた魅力にとり憑かれていく。
父親はパリ在住の航空会社勤務で、ちょっと藤田氏自身がモデル?と思った。息子はX JAPANのhideっぽい。多様な音楽の話も楽しい。
自殺の原因という謎解きと、父親の激しい過去や対照的な現在、少女の正体、少女との出会いと別れが絡み合う。
大人の男の悟りと、捨てきれない若いころの情熱の齟齬が主人公だけでなく、彼の友人や息子の関係者にもつきまとう。
ラストがちょっと慌てたような(新聞小説だから?)ドタバタであること、息子の自死の原因がいまひとつしっくりこないところ以外は、静かで激しいある男の一ヶ月の波乱の物語。