Schemerシリーズの中では前二著とは独立しています。著者のひとり Oleg Kiselyov 氏の作成した miniKANREN 上でのプログラミングを全編で行います。 miniKANREN は Scheme 上に構築した論理型言語で、DSL の形態になっています。 miniKANREN は Scheme と似た condi などが含まれており、これらを上手に使って Prolog の教科書で出てくるレッドカットやグリーンカット等を分かり易く解説しています。こういった例から論理型といっても手続きの評価順序の影響があることを理解できます。

読者として２つのグループを想定しているようです。ひとつは miniKANREN 上のプログラミングを通して論理型プログラミングを学ぶグループです。もうひとつは巻末の miniKANREN 作成から処理系の作成を学ぶグループです。前者の場合には予備知識は不要ですが、後者の場合にはマクロ等に関する深い知識が必要です。 SICP や On Lisp を読み終わっているぐらいの知識が必要だと思います。

自分のスキルアップとともに読み取れる内容がどんどん深くなっていくのが処理系作成の醍醐味です。自分の Scheme のスキルを確認するために何度か読み返してみると新しい発見ができる面白い本だと思います。Clause and Effect と一緒に読むと Prolog を学びやすいのでお勧めです。