本書では、豊富な具体例と図を用いることにより、難解な会計のしくみや考え方をわかりやすく説明している。たとえば、「買ったそのときにだけ費用が発生してその設備を利用して増えた利益が、10年間にわたって計上されるのは、変な気がしないかい?」というように、対話形式の説明を読み進めていくうちに、これまで机上の空論だった会計の知識がより身近なものに感じられるようになっている。
貸借対照表(バランスシート)と損益計算書(インカムステートメント)について述べられている部分は、初心者にとってやや骨が折れる部分かもしれない。だが、通読すれば、数字に弱い人でも、財務諸表から会計情報を読み取れる力がつくはずである。また、覚えておきたい項目はコラム化され、繰り返し勉強して暗記しやすいようにうまく整理されている。これから会計の勉強を始めたい人にとっては必携のハンドブックである。(淀川顕一)