「論理学って何の役に立つの?」に平易に答える
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非古典論理の研究で超有名な、オーストラリアの論理学者の書いた小さな論理学の入門書。論理学そのものの入門書というよりは、論理学を使うと何ができるのかということに対する入門書といった方がいいかもしれない。
まず初めに一階述語論理の基本的発想を紹介した後、自己言及と嘘つきパラドクス(5章)、様相論理と決定論(6章)、時制論理とマクタガートのパラドクス(8章)、同一性言明と変化(9章)、曖昧さと自然神学的な神の存在証明(10・11章)、そして意志決定理論と賭けによる信仰(12章)まで、実に広範囲に及ぶ。
スタンスは一貫して、日常言語を用いていては不明瞭だったり妥当ではなかったりする推論を形式論理を用いるといかに整理できるかを示す、という風になっている。そのため、哲学的考察にも溢れていて楽しい。個人的には通常の小さな論理学入門書では扱われることのない、帰納論理や確率論について大きく扱われ、刺激を受けた。
英文はやさしい。時に見慣れない単語が出てくるが、構文自体はいつも明晰。時間のあるときに手元に置いて興味のあるところからぱらぱら見るのがいい。