スティーブン・キングが絶賛した純文学ミステリー
★★★★★
Whitbread賞受賞作「Behind the Scenes at the Museum」の作者Atkinsonの第4作「Case Histories」は、一応ミステリーということになっているが、純文学として読むべきだろう。
離婚した元警官のJackson Brodieは、私立探偵として3つのcold case(迷宮入り事件)の調査に取り組む。中年の2人の姉妹から依頼されたのは、家族のみなから愛されていた末っ子のOliviaが3歳のときに行方不明になった事件だった。2つめのケースは10年前に起こった弁護士の娘の殺人事件で、3つめは斧で夫を殺した妻の妹からの依頼で、姪を探してほしいというものだ。
これらのケースにJacksonは自分の過去を重ね、気がすすまないながらに調査をしてゆく。家族内の秘密、崩壊した家族、過去から抜け出せない人々、など人間の悲しい性をAtkinsonは独自の不思議なユーモアに満ちた口調で語ってゆく。
スティーブン・キングが「Not just the best novel I read this year, but the best mystery o the decade…」と評しただけあって、読みごたえがある。