やはり、某アニメの影響でしょうか?
★★★☆☆
一見、難解そうな錬金術の世界を、錬金術の思想的哲学的な部分よりも、それを扱う者たちに焦点を置いたのが良く、非常にわかりやすいだけでなく錬金術の奥深さや魅力も垣間見せてくれるのが本書の特長です。紹介されている錬金術師たちは、錬金術に成功し富と名声を得た者と、術者の尊大さや周囲の無理解と嫉妬によって投獄され無残な最期を送る者に大別されるようで、どうやら、才能や幸運と並んで、「人柄」も錬金術者として上手くやっていくのに必要だということが、本書から伺えます。錬金術が、黄金の変成や不老不死だけでなく、完成された人間を目指して修練するものであったことが分かる本書の説明は、なるほどと思いました。基本的な錬金術の背景も、巻末の用語集とあわせて紹介されているので、初心者にもとっつきやすく面白く読めると思います。