Rod Ellisによって書かれた第二言語習得に関する代表的な入門書である本書は、海外の大学院でも教科書として広く使われている。特に本書の分厚さからも想像できると思うが、reference bookとしての機能は大変優れている。本書の内容は、第二言語習得の歴史的な発展を踏まえつつ、言語学的アプローチ、認知的アプローチ、社会言語学的アプローチ、言語教育の有効性の検証、各種理論の概説及び問題点、個人差の問題などを数多くの引用と著者自身の解釈などを交えつつ比較的平易な文章で、丁寧に綴っている。中にはこの本の分厚さに圧倒される人もいるかもしれないが、本書を読み終えたときには、第二言語習得は何を問題にしているのか、ということを広い視野で捉えることが出来ると思う。第二言語学研究のいわば「登竜門」的存在といっても過言ではないだろう。行き詰ったときには、よくこの本を開いている自分を発見する。良書である。