色とりどりだけれど、とても静かな世界。
★★★★★
ムギは小さな女の子。彼女の周りでおこる様々な出来事。どこからが夢でどこからが本当か。人と人でないモノが交わる。
本当は死んでいるの?それともどこかへ行ってしまっただけなの?世界が重なって、ムギはその重なりに魅かれるようになる。
けれどムギにとってはすべて現実なのだ。
そしてそのすべては9年前の出来事に起因するようだが…。
銀河鉄道の夜を彷彿とさせる物語でした。とても綺麗な物語。触れれば壊れてしまいそう。
静かで、ちょっぴり悲しくて。
ファンタジーですね。原爆という言葉は出てきませんが、なんとなくわかる…。本当にこんな世界があるのかもしれないと思ってしまいます。
だって一瞬のことだったから、まだ変化を知らずに暮らしている人がいるんじゃないだろうか?
その人が暮らしている世界はあちらの世界?それともこちらの世界?
疑うことをしないムギがとてもいいな。あるがままを受け入れる。不思議なことがたくさんあって。
綺麗です。星玉すくい、やってみたいなあ。
いっきに読んでしまいました。
★★★★★
ファンタジーが好きな人にはおススメです。ストーリィーの背景には原爆の悲劇があるのですが、そういう話特有の重苦しさを感じさせません。「星玉すくい」や「流星火球」など、読みながら想像するのが楽しい。読み進めるうちに、主人公は生きているのか?もしかして、死んでいるのでは?との疑問も浮かんできて、すっかり話にとりこませてしまいました。
ビスケットやタンポポコーヒーなどの描写が主人公の出会いと別れの場面に添えてあり、読んだ後で私はビスケットを口にしたくなりました。
何度も読み返したくなります
★★★★★
ヒロシマの「あの日」から9年後。
あの光がなければ、いつものように会えるはずだったのに。
もう一度会えることを信じて、さまよい続ける人々の思いを
乗せて、夜行の電車は静かに進む…。
「原爆」を背景に物語は描かれていますが、ファンタジー要素が強く、
「原爆」という直接的な表現は出てきません。
主人公のムギが出会う人々や情景が、終始美しい文章で綴られ、
淡い絵の具で描かれた絵本を見ているようです。
やさしくて、切なくて、曖昧で…。
悲しいけれど、読後感のさわやかな余韻に浸れる1冊。
沢山の大人たちや子ども達に読んで欲しいです。