冒頭を飾るのは、空海『性霊集』などから引いた詩句をあしらった吉岡功治氏のグラビア作品集です。続く前半は、村上護氏の解説で、遍路の成り立ちや歴史、お参りの心得、高野山、そして、著者自身の遍路にまつわる思い出をカバーしています。
後半も村上護氏の執筆で、各札所の案内になっています。事務的な紹介記事ではなく、札所の縁起や伝承のほか、随所に修験との関連についての考察や遍路に対する著者自身の考えなどが述べられ、随筆的な風合いも備えています。
巻末の資料編には、八十八ヶ所のしい在地、最寄の公共交通機関の便、宿坊、駐車場の収容台数などの情報、そして空海関連年表が収められています。
全巻を通じて、札所や周囲の自然の美しい写真が豊富で、ひとことで言えば、解説書と札所写真集を兼ねた一冊です。