１年前に買っていたのですが、やっと読めた。体調不良で途中でほおり出していたら翻訳が出てしまった。サブプライムローン問題前に書かれた本なので、アメリカ経済に対して強い信頼と自信が感じられる。政治が強く経済が先に衰退した大英帝国とは逆にアメリカは経済が強く政治に問題があると述べ、アメリカの衰退ではなくアメリカ以外が勃興しており、経済的、政治的、軍事的に主張を始めている。この状態を受け入れ、唯一のスーパーパワーとして経済力と軍事力を背景にしてふるまうより、ナンバーワンの国として自由や機会などアメリカを作ってきた伝統的価値観を維持し続け活力ある社会と国家を維持し続けることが、アメリカ後の世界における最善の方策であると結論づけている。また、本の末尾近くでオバマ議員(執筆当時は予備選挙中)のテロ対策を肯定しているが、慧眼である。日本に関する言及が少ないのは、存在感が薄れているせいなのだろうか。いささか気になるが///。アメリカから見える数世紀にわたる文明、大国の興亡を鳥瞰しながら世界とアメリカの現在とその関係を描いている。著者のニューズウィークのコラムのように新たな視点、理解を得ることができる。また、ジャーナリストが書いたものでもあり、具体的事例やデータ、意見などが随所に盛り込まれており、読みやすくもある。アメリカ人に対しては受け入れるべき世界像を示し、我々にはアメリカから見える世界像を示している。必読と言える。