時代を越えて読み継がれる、このスース博士の名作は、1960年に出版されて以来ずっと読者を楽しませてきた。「Sam-I-am」のしつこさといったら、まるで電話でセールスする人のよう。手を変え品を変え、疑り深い主人公に「緑色の卵焼きとハムは絶品だ」ということをわからせようとしている。とにかくあの手この手を使って「新料理」を食べるように勧める。「家の中でネズミさんと」「箱の中でキツネさんと」「ボートの上でヤギさんと、いっしょに食べてみませんか」と勧めるけれどもうまくいかない。ところがとうとう、疲れ知らずの「Sam-I-am」のあまりにしつこさに相手は根負けしてしまう。はたしてお味は?
結果は想像できるかもしれないけれど、緑色の卵焼きとハムが「とっても、とってもおいしい」ことがわかるクライマックスは、何度読んでも痛快だ。他の作品と同様に、スース博士の風変わりでリズミカルな文と奇抜なイラストを、子どもたちは気に入ってくれるにちがいない。しかもこの本を読んだら「ためしにブロッコリーを食べてみようかな」という気になってくれるかも。