妖怪から都市伝説まで
★★★★☆
2002年に角川書店から出た単行本の文庫化。新たに口絵が加えられているという。
2001年夏に国立歴史民俗博物館で行われた企画展「異界万華鏡−あの世・妖怪・占い」に合わせて開かれたシンポジウムや研究成果をまとめたもの。
常光徹「妖怪絵巻と民間説話−「土佐お化け草紙」の民俗的背景」、山田慎也「亡き人を想う−遺影の誕生」、島村恭則「韓国の都市伝説」、内田順子「音の想像力と異界」、京極夏彦「描かれた妖怪」、小松和彦「異界をめぐる想像力」、京極×小松対談「共有財産としての妖怪」、池上良正「死人に口あり−民俗宗教における死者との対話」、鈴木一馨「「おに」の来ない鬼門−風水をめぐる異界観」が収められている。
妖怪絵巻、都市伝説、いたこ、鬼門など実にさまざまなテーマが挙げられている。いずれも最新の切り口からの研究であり、刺激的だ。
ただ、一般向けという意識が強くあったのか、「いまわかっていることをわかりやすく書いた」という印象が強い。なんだか、まとまってしまっているのである。そのあたり、やや物足りない。
展覧会も見てみたかった。
小松和彦と京極夏彦の対談は面白い。
★★★★☆
異界・妖怪についての入門書。
タイトルの「異界談義」の通り
京極夏彦と小松和彦の対談が有り、
それ以外にも風水や音の視点からみた異界についての考察等、興味深い考察も多い。
ただ、全体的に文章が硬く、面白く仕上がってるかと言われればそうではない。
個人的に京極夏彦と小松和彦の二人が大好きなこともあって、「異界談義」の部分は実に楽しく読めたが、その部分だけこの本から浮いているような気がする。
まあそこの部分だけでもかなり面白いので、全体的には☆4つ。
異界を考えるにあたってキーになりそうな、小松和彦の言葉を引いておく。
「異界はどこにもないが、どこにでもある。異界とは、それをリアリティとして感じ取っていた人にしか現れないのです。」