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The Appeal

価格: ¥663
カテゴリ: マスマーケット
ブランド: Dell
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常にアメリカ司法問題を提示してくれる ★★★★★
米国の懲罰的損害賠償の問題にまつわる問題に関しては、別の小説にて提示されており、今回は題名の通り上訴審裁判の判事選を題材に米国における判事選のあり方に迫っている。
グリシャムの小説を読んでいると、小説自体の面白さは言うまでもないが、陪審制の問題を初め米国司法制度の問題点をえぐりだしてくれるという点で非常に参考になる。単なるエンターテイメントではない社会派の小説として、また一つの傑作が提示されたと評価できる。
長い大統領選挙が終了し間もなくオバマが次期大統領に就任するが、この二年間の大統領選挙を通じて米国民主主義のダイナミズムを見せつけられた感じがしたが、その反面この小説にでてくる様な問題もまた民主主義の一面である現実を考えさせられる。
フィクションにしてノンフィクション、そこが面白い。 ★★★★☆
どなたかが「勧善懲悪でないジョングリシャムなど・・・」と言っておられましたが、私も同感です。最後のページまでドンデン返しを期待していましたので、読了後、いささかフラストレーションが残りました。にもかかわらず、四つ星を謹呈する理由は、この本にはアメリカという社会のダイナミズムが良く描かれていると思ったからです。個人がバーガーショップのコーヒーで火傷をおった被害だけで、ミリオンの懲罰的賠償金が宣告される、個人・消費者・被管理者・被統治者=被害者=原告有利の国。他方では、上告審である州の最高裁の判事選挙において、供給者・企業・管理者・統治者=加害者=被告の立場に立つ候補を巨額の資金で当選させる合法的勢力。この二極の間をダイナミックに動くのがアメリカであると観じました。日本と違い、振り子の揺れがはっきりしていて有る意味爽快ですらありますな。
勿論、その振り子の揺れの背後には、民事訴訟でも第一審においては陪審員制度を選べるシステムと、10人に一人という弁護士の存在を生むアメリカ民主主義があることは間違いない所です。
とまれ、この本の出版(2008年1月)後一年が経ち、この間アメリカも世界的経済危機と、大統領選挙を経験しました。
飛躍を恐れずに言うと、オバマ新大統領の選挙戦にも、このダイナミズムはあったと思います。民主党対共和党という単純な対峙だけではなく、オバマ陣営の中にも対峙があった筈。(これからオバマ氏がどうまとめて行くかが見ものです。)
そして、小説で勝者として描かれたKrane社も、もし現実にこの一年間を経験したのであれば、いわば自業自得として、株価暴落で手ひどいしっぺ返しを受けているのではないでしょうか。そう想像すると、私の鬱憤もやや晴れてくるのです。




アメリカの裁判制度の問題を抉り出している ★★★★★
Playing for Pizza、では、お遊びが過ぎた感のあるJohn Grisham氏ではあったが、続いて発表されたこの本は大きな反響を呼ぶのではないかと思う。
クレーン・ケミカルという会社が産業廃棄物を垂れ流して地下水汚染を引き起こし、その水を飲んでいた子供と夫が癌で亡くなった、という訴えで原告は補償費と懲罰的損害賠償金の合わせて41百万ドルを勝ち取った。この話は、その裁判結果を不服とするクレーン・ケミカルの最高裁判所への上訴請求を主軸として、時を分かたず行われる最高裁の判事の入れ替え選挙とを絡めて展開される。
いつもながらに読みやすい文章で十分に楽しむことができたのではあるが、話の結末はこれから読む人の楽しみを奪ってしまうので控えることにする。
私がこの本に5つ星をつけた理由は、アメリカの裁判制度が抱えるいくつかの問題点を作者が大胆に抉り出しているからである。1)陪審員が被害者に感情的な肩入れをして事実の認識を怠ることはないのか、2)賠償金が、被害者の得べかりし所得と精神的打撃に対して、常識を超える金額に裁定されるのが一般的になっているのではないか、3)原告の陰に隠れて金儲けをする法廷専門弁護士の道義的責任はないのか、4)法外な賠償金の裁定はアメリカの経済活動を損なっているのではないか、5)陪審員が裁定する非常識な賠償を防ぐために大企業(或いは政治家)が画策する防衛策は道義にもとるものか。
作者はあとがきでこのように言っている、登場人物や背景の設定は全くのフィクションであるが、行われていることは事実に基づいたものである、と。我々読者はこの物語の結末に一喜一憂するのではなく、アメリカ社会の抱えている裁判制度、或いは飛躍して考えて、どの国のどの制度にも潜んでいる不合理さや古くなって役に立たなくなった制度などに思いを致すよすがとなる本である、と考えるべきなのではないかと思う。
納得出来ません。 ★★☆☆☆
ミシシッピ州の弁護士負債ウェスとメアリー・グレイスが、地元の人々を苦しめた化学企業に対して巨額の賠償金を払わせる評決を得るところから物語は始まります。この評決が化学企業によって州の最高裁に控訴され、その州の最高裁判事の選挙結果が控訴審の判断を左右すると、NYに住む化学企業のオーナーは「裏の社会」にもお金を投じます。何でもかんでも裁判にして巨額の賠償金をふんだくる訴訟社会、どうして裁判官が選挙で選ばれなくてはならないのか、資金集めが全てでモラルも何もない選挙戦、そして同性間の結婚について、現代のアメリカが抱える問題が見事に絡まりあって、大きなドラマが展開されます。
と言いつつ今回の作品に私は納得が出来ませんでした。ジョン・グリシャムは「勧善懲悪」じゃなきゃいけないのです。彼は大作家ですが、しかし文学者じゃない。人を楽しませるエンタテイナーでなくてはならないのです。「イノセントマン」はノンフィクションだから良かったのです。でもこれはフィクションでしょ。スカっとさせるのがグリシャムの役目で、「アメリカの問題点なんか別にあんたが浮き彫りにしなくたって知ってるよ」と言いたいし、こういう風に書くならば「悪党の設定もおかしい。この程度の小悪しか出来ない奴がこんなに優秀なわけないでしょ」とか「実際の大企業はこんな浅はかじゃないよ」とかも言いたい。エンタだから、そういう無理な設定も許して来たんだけどな。