磁石の起源は紀元前3000年ごろ、ギリシャのマグネシア地方で見つかったという天然の磁鉄鉱までさかのぼる。また一説には、中国の慈州で産出された磁鉄鉱「慈石」も漢字名の由来になっているという。本書では、磁石の起源に始まり、そこから磁石の技術開発の歴史も解説されている。特に磁性体の開発で功績を残した4人の日本人科学者にスポットが当てられている。磁石にまつわるさまざまなトピックが網羅されており、磁石が今までよりもずっと身近なものに感じられる。
図は「磁気カード」や「MOディスク」のような薄く小さな製品までしっかりと描かれている。今後、磁石を用いた技術が期待される分野なども興味深い。医療機器もその1つであるが、欲を言えば電磁波の人体へのマイナス面についても、もう少し詳しく取り上げてほしかった。(棚上 勉)