あくまでもハンドブックである。支援の流れをつかむためには適切である。
　プログラムの内容や手順、ワークシートも豊富に紹介してある。
　が、医療場面では意外に使いにくい。そのまま使うのは難しい。応用していく題材としては有益である。
　というのも、日米の行政や法制面での違いがあったり、地域や学校といった集団への援助を想定しているからである。
　特にスクールカウンセラーにとっては、知っておいてよいことが盛り込まれている。

地震で家族と財産を一瞬に失ってしまった人をどうケアするか。今自殺しようとしている人、また自殺により周りの人を失った人をどうケアするか。このような危機的状況の対処法（いわゆる危機介入）はカウンセリングにとって、極めて重要な関心事である。この本には、そのような事態に、カウンセラーは何をするべきか、あるいはするべきではないかをマニュアル的に述べられている。一通り読むと、いざというとき有益であると思う。要点がコンパクトにまとめられているが、これはあくまで導入であると思う。（答えが載っているわけではない。）ここから更なる研究が必要である。各章ごとに参考文献が載せられている（英語）ので、読み進めればよい。