確かに謎が謎のまま終わっていたり,主人公が満足に歩けないということもあり、“ザ・ギバー”に比べて今ひとつダイナミズムに欠けるきらいのある作品ですーーと、思っていたらなんと最近“MESSENGER”という続編が出版されました。しかもこの続編もまた、到底これで完結とは思えない終わり方をしています。どうやら作者ロイス・ローリーは、このKIRAの物語のシリーズ化を決定したようです。二作とも実に象徴的で裏に何かが隠されているような構成になっているので、すべての物語が語り終えられたとき、どのようなデザインのタペストリーが織り上げられるのかー、最後まで是非つきあってみたいです。
主人公は、少女Kira。父は狩に行ったとき野獣に殺され、母は病気で死亡。母の死後、Kiraは、生まれながらに足が不自由であるがゆえに、コミュニティから抹殺されそうになった。が、秀でた刺繍の能力を持っていたため、支配者達から、歴史を刺繍した衣装の補修を任され、特別な生活の場を与えられた。
いろんな色に糸を染めるのもKiraの仕事。blueは、穏やかさを生む色。しかし、このコミュニティには、糸をblueに染めるための染料がない...
読み手を飽きさせることなく、物語は進んでいきます。そして、謎解きも進んでいきます。謎が解けた時に、Kiraが選んだ生き方は?
私達の社会は、これからどうなっていくのか。私達は、どんな社会のありようを、そしてどんな生き方を望んでいるのか。考えさせられます。
読後に、この話の続編を想像するのも面白いですね。