2時間37分、ここまで濃密で重厚な映像体験をさせてくれる作品も珍しい。主演は、ともにオスカー俳優のデンゼル・ワシントンとラッセル・クロウ。監督は巨匠、リドリー・スコット。この完璧なトライアングルが作り出す男の美学に酔わされるのだ。1970年代初頭のNYで、一匹狼のギャング、フランクが東南アジアから安価な麻薬を密輸して富を築き上げる。一方、特別麻薬取締局に配属された刑事のリッチーは、精鋭チームを組んでフランクに迫っていく。主人公ふたりは、ともに実在の人物だ。
悪役ながら観る者の共感を誘ってしまうデンゼルの存在感と、いい意味での愚直さを前面に押し出したラッセルの受けの演技。その対照的な魅力は甲乙つけがたい。ふたりそれぞれの「光と陰」を交錯させたドラマ運びが絶妙で、人間の二面性がキャラクターを通して浮き彫りにされるのだ。フランクの家族や汚職警官の存在によって、人間への視点はさらに複雑さを帯びる。70年代のNYを再現した美術や、微妙な光を計算したリドリー・スコットの撮影術など、映画の見本とも言える上質なビジュアルに引き込まれ、善であれ、悪であれ、信念を貫いた男たちの運命に胸の奥底まで震えてしまう。(斉藤博昭)
What matters in business is honesty, integrity, hard work...
★★★☆☆
デンゼル・ワシントン扮するギャングのフランク・ルーカスのモットーとして語られた"What matters in business is honesty, integrity, hard work..."というセリフが最も印象に残りました。
Amaging Graceの歌が流れる中、逮捕するために、ラッセル・クロー演じる麻薬捜査官リッチー・ロバーツが初めてルーカスの前に現れるシーンがクライマックスです。誰かに尾行されていることは気がついていたが、お前だったのかという驚きとも諦めともつかないワシントンの表情はさすが。
監督はリドリー・スコットで「ブラックレイン」などの作品があります。「トップガン」のトニー・スコットは弟とか。
静かなる…
★★★☆☆
「ギャング」という言葉に勝手なイメージを膨らませ過ぎた感のある私には
ちょっと肩すかし?のような印象の作品でした。
ギャングといえば派手な銃撃戦やカーチェース、裏切りは当たり前の腹の探り合い。
ギャングにも長い歴史があるのに、最もにぎやかに活躍した?時代を連想しました。
どちらかといえば武闘派というより知能派そんなギャングのトップと、
私生活は乱れていても警察官としてはなぜかまっすぐな刑事が絡み合いながら進んでいきます。
そして警察内部の腐敗、またそれを敵に回す事、正す事がどれだけの大仕事なのかが描かれています。
それならば視点をもう少しその警察内部に向け、そこを中心にした方が?と思ってしまったのです。
その方が同じ静かに進行していくにしても、もっと緊張感が高まった、そんな気がして。
最も想像する時代背景や抗争の様子、そこからずいぶん時が流れていることがわかります。
主人公のひとり、ギャングのトップが服役を終え外の世界に戻った時、
更なる時が流れまたひとつの時代が終わった事を静かに、そして冷ややかに感じるのです。
やっぱ真面目に生きるのが一番
★★★★★
その後、このスターはどうされているのやら。
確かに、ある意味この世界ではスターである、輝いている、
同調してしまう。
でもやはり、正しい生き方の方が一番良いに決まっている、
その正しい生き方の刑事と、ギャングスターの対決?
大物同志、その他諸々。
裏の大物は目立つ格好はしないとは、これを観るとやはり本当のようだ。
そして、また事実は小説よりも奇なり。
どこの国もか、昔のその道の人達は、一方では冷徹でありながらも、
一方では貧しい庶民の味方であるようだ。
そのボスの運転手を15年も勤めた彼が、後のスターとなる訳である。
当たり前の事だけれど、人は正しい生き方を、する方が良い。
改めてそう思う作品かもしれない。
うまいよなあ
★★★★☆
アンチ・ヒーローにデンゼル・ワシントン、ヒーローにラッセル・クロウを配した、実話に基づいたUSの麻薬犯罪のストーリー。
商材が違法なもの(麻薬)であること、競合排除の方法が違法(暴力)であることを意識しなければ、ビジネス革新の物語か。
ユーザーニーズを取り込むため、良い品を安くする。
良い品を安くするため、戦時下での数量確保や従来の販売業者の反発といったリスクを引き受けながら商流の中間マージン(仕入れ・販売の両面から)を排除。
製造原価を下げるために、ハーレムの安い労働力を導入。
成長期の優れたトップ営業とすばやい意思決定。
組織の拡大で、必ずしもできの良いとは言えない身内を登用したり、経営者がカネを手に入れたため本業以外の欲求(美しい女性や有名人との交流)に意識が向いてしまったりで、それをきっかけに組織が崩壊。
どこかの国の失敗した新興企業を見るようで、ビジネスストーリーとしてよく描けているという印象を持った。
デンゼル・ワシントンはやはり悪役の方が上手さが際立つ。
ラッセル・クロウも「屈託」を抱えるヒーローがはまる。
二人とも押さえ気味の演技はさすがにうまいとしか言いようがない。
リドリー・スコットも157分という短いとは言えない物語を冗長性も感じさせず、スピーディな仕上がりにまとめている。
近年(2000年以降)のスコット作品の中では、とてもよくできた作品だと思う。
つまんねぇー!
★☆☆☆☆
あれこれ期待して観たけど何をいまさらな映画ですね。実話とか言ってても真っ昼間公衆の面前で、敵対する相手の頭ぶっ飛ばしてレストランに戻るエンゼル・ワシントン。おい!おい!って私は思いましたよ!あそこのシーンだけでも、例え映画だとしても私は納得いかないスッ!最近のワールド・オブ・ライズも何をいまさらのリドリー!ガッカリですね。両方共無駄に長いし。