リファレンスマニュアルではあるが、最初に、UMLの概要についてかなりの紙幅を割いており、その概念がある程度理解できるところまで解説されている。また、リファレンスについても単なる語の説明ではなく、例や表などを使って詳しく説明している。リファレンスという表題からもわかるように、本書は500ページ以上あるためかなりぶ厚い。常に手軽に持ち運べる本ではない。これはリファレンスマニュアルの一般的な特徴である。しかし、個々に書かれている文章はかなり平易に訳されているので最初から読み込んでいける。ここが一般的なリファレンスマニュアルと違うところである。また、リファレンスの語の順番は五十音順に並べ替えられており、UMLの初級者から中級者にとっては引きやすいようになっている。惜しむらくは、文中で他の語を参照するときにそのページが書かれていないことである。
本書は、『UMLユーザーガイド』や『UMLによる統一ソフトウェア開発プロセス』を含めた3Amigoの著書の1冊である。UMLについては『UMLモデリングのエッセンス』と前述の『UMLユーザーガイド』、そして、本書の3冊が代表的なものとしてあげられる。実務者であるUML中級者がデスクに置いておく1冊として最適である。さらに、監訳者も述べているように、UML初級者にもUMLを理解するために最初から順番に読んで頂きたい本である。(新保康夫)