そして完成した本作『Coverage』は、ごった煮的ではあるが、結論としては成功作である。ムーアはいたずらに声を張り上げたりせず、凛(りん)とした美声でXTCの「Senses Working Overtime」を、トッド・ラングレンの「Can We Still Be Friends」を、ブロンディの「One Way or Another」を歌い、それぞれの曲に新たな陰影を加えている。さらに彼女は、ジョニ・ミッチェル、キャロル・キング、カーリー・サイモンの代表曲も発見した。今後もこの路線を続けるつもりなのかどうかは分からないが、ムーアはこのアルバムを作り上げたことを誇りに思っていいだろう。(Heather Court, Amazon.com)