本書では、とくに中小企業経営者に向けて、費用をかけずに最低限の信用調査・与信管理をする方法を指南している。全体の約半分は、流動性分析などを中心とする定量分析の手法について述べられているが、とくに注目したいのは、中小企業向けに書かれた残り半分の内容。開示データの少ない取引先の財務データを、業界平均などから割り出す方法や、財務データからだけではわからない危険性を、経営者の人柄や手形、モノや人の動きなどから推し量る方法を示している。実際に倒産した企業の財務諸表や定性情報も掲出しているので、とくに中小企業経営者にとって有用な1冊である。(土井英司)