バブルとレバレッジのトリック
★★★★☆
たった160ページほどのものだが
現在の<バブル資本主義>成立の過程を
良く見極めたわかりやすい良書である。
<米貿易赤字→世界的なドル蓄積(過剰)→米への資本逆流→米バブル>
世界を揺るがす「過剰流動性」なるものの正体は
要するに基軸通貨ドルの膨らみ過ぎである。
A国はJ国やC国やI国、E国からモノを買い
期限の無い約束手形である$を振り出す。
J国やC国やI国、E国はその手形でA国の国債を買う。
A国は戻ってきた手形を再利用して
J国やC国やI国、E国に投資する。
そしてその投資によって作られたモノを再びA国に納め
新たな手形を受け取りそれをまた…
というわけである。
このグローバル体制、一見丸く収まっているように見える。
でも何か怪しい…
きっと皆騙されている。
いや騙されていることは誰もがわかっているのに
騙されている方もいつの間にか全員共犯になっているので
誰もがその怪しさから抜け出すことができなくなっている。。。
というべきなのだろう。
おそらくこのグローバル体制に
隠されているトリックは<レバレッジ><リスク><裁定>といったところだろう。
サブプライムバブル破裂後の、現在も進行中である商品バブルにも
同じトリックが使われているのだろう。
原油や穀物の価格が高騰し続けるのは
<レバレッジ>が<リスク>を買い求め続けているからである。
<リスク>という夢が、覚めた現実に戻るまで、
<レバレッジ>という魔法の杖は自動的バブルを膨らませ続ける。