スペクター、ブロフェルド初登場!,
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映画では最初からお馴染みでしたが、原作では9作目で初めて、ブロフェルドを首領とするスペクターが登場します。もともと映画の脚本として構想されたものですので、ストーリーは映画とほぼ同じものです。映画では、ご都合主義的な偶然がスートーリーのキーとなっていますが、原作でも同じです。映画は60年代後半ボンド・ブームのピークに封切られました。いまだにイギリスではサンダーボール公開何周年とか言って上映会やってるらしいです。
原作、映画とも成功した作品ですが、実は裏でもめていて、法廷闘争にまでなっていました。当初映画の脚本として構想されていた時には、フレミング個人ではなく、ケビン・マクローリーとの共同作業でした。この段階でストーリーのラフスケッチ(シノプシス)はできていました。その後、映画化の話が一度頓挫して宙ぶらりんになっていた時にフレミングは小説として発表してしまいました。無断でシノプシスを使用されたマクローリーは怒って出版差し止めの訴訟を起こしました。結局、小説の権利はフレミングが持ち、映画化権はマクローリーが持つということで一応の決着がつきました。
ボンド映画のプロデューサー、アルバート・ブロッコリとハリー・サルツマンは映画化にあたり、映画化権を買い取ろうとしましたが、マクローリーはどうしても手放さず、製作は共同で行い、プロデューサーとして自分の名前をクレジットするという条件で映画化に同意しました。(暇な人はDVDでも借りて、タイトルロールで確認してみてください。)
マクローリーはその後、007役を引退したショーン・コネリーを引っぱり出して、「ネバー・セイ ネバー・アゲイン」として再映画化しました。懲りない人です。