法廷劇、ミステリー、暴走する家族愛、そして、どんでん返し
★★★★☆
20年前のサマーキャンプで連続殺人事件に巻き込まれた妹の遺体をさがすため、
父は泣きながら森を掘りつづけ、絶望の中で「妹をみつけなければ」といいのこして死の床につく。
3ヶ月後、地方検事である主人公はキャリアをかけた強姦事件の裁判で、被告である息子たちを
守ろうとする親たちの圧倒的な財力をもとにした圧力と対決することになる。
だが、ある殺人事件の被害者の死体が、20年前の事件で死んだと思われていた妹の恋人だと
判明したとき、主人公は、人生を根底から覆される運命に巻き込まれていく。
20年前、森の中で起きた事件の真相は?
単なるミステリー、謎解きとしてだけではなく、殺人事件、強姦事件、それぞれに巻き込まれ
崩壊してしまった家庭の絶望と悲哀が描かれ、徐々にふたつの事件が絡み合っていきます。
テーマは家族愛ともいえますが、家族を愛するあまり人の道をふみはずしていく人間の恐さが、
じわじわと染み込んできて、その迫力にまいりました、という感じです。読後感はちょっと悲しいです。
語彙は比較的平易で法廷、刑事専門用語も少なく、読みやすいと思います。