宮部みゆきは、たいてい読み尽くしている。これは久し振りの現代ミステリーで、その部分でも期待が高まった。三部作なので、一冊づつ感想を述べた方がいいのか迷ったが、取りあえず三冊読了した後の意見を述べておく。率直に言えば、内容の割に長過ぎたようにも思った。〈模倣犯〉は自分の中でベストに近い作品なのだが、今作は色々と都合の良い展開があり、そこも気になる。具体的には、物語はじめの方に登場する中学生が大人過ぎるとか、そこに関係していく人物達が何故か協力的過ぎて、読み手が置いていかれた感があった。感情移入出来ない人物が出て来る事は避けられないが、キャラ的にあり得ない展開というのは覚めてしまう。フィクションである以上、話そのものがリアル過ぎる必要はないが、キャラクターに嘘があってはいけない。待たされた分、少々拍子抜けか。