着眼点は参考になりますが
★★★☆☆
使用した感想としては「喉発音」自体はとても参考になる着眼点でした
一方、本書でのその教授の仕方は(音声も含めて)雑、大雑把だと感じました
一般の音素発声学習テキストとの併用(口・舌+喉)で学ぶ方が
効果が高いと思います 私も自分なりに対照させながらまとめを作りました
本書も含めて音素発声学習は英語音声学習の入り口なのですが、
私も含めた日本人学習者にとっては文の中での強弱リズムを
身につけることの方が実際ははるかに重要だと思います
強弱リズムがあるからこそ、それを作り出すために、強の部分に
弱の部分がくっつけられる単語と単語のリンキング(リエゾン)等もおこります
文の強弱リズムとそれを作りだすためのリンキングやリダクション他様々な音声変化、
子音中心の発声、といった事柄の学習があくまでもメインだと思います
本書を含めて音素発声学習だけではネイティブのように発話したり
リスニングできるようになるのは無理なのであまりこだわり過ぎず
「喉発音」を自分なりに参考として取り込めればそれでいいと思います
説明の仕方や音声など正直もう少し上手くできないかなという感はあります
賛否両論がございますが。。。
★★★★★
私は、仕事柄 ネイティブのアメリカ人と話をする機会があります。
彼らの話す言葉は明らかに日本人の発音とは異なります。
以前から何故なのだろうと常に考えていましたが、その原因が喉発音にあることが
この本で明確に分かりました。
喉発音からネイティブの発音を、具体的にアプローチされた功績は大きいと思います。
喉発音が理解できれば、L, R, th, S, ae など日本人が不得意としている
発音ができるようになると確信します。
一方、この本を批判されている人の意見を見ると、ゲップエリア、アクビアリアなど
意味不明なフレーズのことを批判されているようです。本物の英語の発音を身につけたい
私のような実用的な人には、学術用語など関係ないのです。ようは自分できちんとした発音ができれば
良いのです。私には特に気になりませんでした。
この本では、特殊な発音記号が提案されていますが、実に合理的に作られています。
しかし、IPA記号やAHD記号の発音記号が氾濫する昨今において、特殊な発音記号は私にとっては邪魔です。
IPAと AHD を 喉発音の対照させることが、この本のキーポイントです。
この表があれば、既存の辞書に記載されている発音記号をすべて喉発音することが可能となります。
この本の著者は、オフィシャルではありませんが、IPA と喉発音記号の対照表を作成されています。
いずれにしても本物のネイティブ発音に近づきたい、実用的な人には、この本はお勧めしておきます。
ちなみに私はTOEIC850点です。
喉発音・3ビート
★★★★☆
「喉発音」「3ビート」は、2人の著者が考えた概念です。IPAは採用せず、この本独自の発音記号ですが、わかりやすいです。私は、IPAに置き換えて、読んでいます。すべての母音・子音の音素について、解説しています。 音声学の教科書は、舌の位置・唇の形・顎の開口度で母音の発音を説明しています。しかし、著者の経験上、これだけではネイティブの発音にはならないそうです。ネイティブには当然過ぎて説明されていないこと、それが「喉発音 pharyngeal articulation 」 だということです。さらに、「喉」を「アクビエリア oropharynx 」「ゲップエリア laryngopharynx 」に分類しています。 それに対して、日本語は、「口発音 oral articulation」 だそうです。
舌・唇・喉の筋の緊張 tenseness に基づいた緊張母音 tense vowel・弛緩母音 lax vowel という分類は、音声学的には実証されていないそうです。 喉の緊張は、今のところ、実験的にうまく証明できないようです。 ちなみに、著者はこの用語は使っていません。しかし、国内・海外の発音教材には、「喉の奥に響かせる」という表現が散見されます。例えば、'American Accent Training'には、'We don't really move our rips. We create most of our sounds in the throat, using our tongue very activery.'(P.1) という記述があります。 他に「UDA式30音練習帳」「決定版英語シャドーイング入門編」など、たくさんあるでしょう。すべてを鵜呑みにはできないかもしれません。 しかし、音声学の正統なアプローチとは異なるかもしれませんが、「喉発音」というメッソドは、日本人には盲点なのかもしれません。
「3ビート」とは、シラブルの onset, nucleus, coda に当たるそうです。つまり、「子音+母音+子音 BON 」です。 日本語は、「子音+母音 DA 」の「2ビート」です。 批判もある本書の「BON BON BON」という表現ですが、「英語ヒアリング集中レッスン基礎編」に、「強勢のある個所はボンボンボンと弾むように現れ、強勢のない個所は比較的弱めに速めに通過する」(P.16)と記載されています。 しかし、'American Accent Training' は、1シラブルを「 duh ダ」「la ラ 」(P.4)と記載していて、これは本書の「2ビート」に当たりますが、深い意味はなく、リズムをとる手拍子と同じような意味ではないでしょうか。 音声学の専門家でない私には、「3ビート」の概念の妥当性は、評価できません。
いいと思うけれど難しい
★★★★☆
昔アメリカに住んでいたことがあるものの、日本に帰ってきてから
10年以上たった今、なんだか自分の発音に納得いかないものを感じて
いました。口も舌もちゃんと動かせる。だけど何かが違う。そんな
時に出会ったのがこの本です。
そうそう、響きが違うんだ!小林克也氏や岩村圭南氏などは声で
得してるよな・・・と思ってたのもコレだったんだ!と思いました。
が、難しい・・・。あくびエリアとゲップエリアというのが分かる
ような分からないような。「なるほど」と分かったつもりでやって
いても「本当にできているのか?」と不安になります。
かつ、英語はすべてゲップエリアとかだとまだ分かりやすい(意識
しやすい)のでしょうが、「母音はあくびエリアなの?」とか、
「え?ルート音?」とか、もうわけがわからなくなってきます。
その大切な最初の数レッスンにもっとページをさいてほしかった気が
します。毎回キモノ・コイズミといった同じ単語ではなく、もっと
バリエーションに富んだ単語で、そしてもっとあくびエリアとゲップ
エリアの違いが分かる練習をふんだんに入れてほしかったです。
著者の発音をネイティブに聞かせたら・・・と書かれている人も
いますが、私はいい響きをしていると思いますよ。聞かされる
ネイティブも先入観・偏見をもって聞いている可能性もあります。
というのも、知り合いの日系アメリカ人が白人アメリカ人に
「あなた英語がうまいわね」と言われて苦笑した場面に出くわした
ことがありますから。
人を選ぶ、、しかし革命的というのは嘘ではない
★★★★★
この本が役に立つのは中級者以上でネイティブの音のイメージが頭の中には
できているが自分ではどうしてもそれを再現できない人です。
従来の発音法にあるような舌の位置や口の形を無視した感覚的なメソッドなので
頭にすでに完成した発音のイメージがある人以外は、???となるのは仕方が
ないでしょう。できているのかいないのか自分では確認しにくいですから。
従来型なら舌の位置etcは自分でも客観的に確認できるので初心者でも
それを手がかりに練習できるけれども、、
rとl, girlの「ガー」の部分、ソフトw、caughtの「コー」の部分、earとyearの違い等々
喉から、じゃなくて目から鱗が落ちる指摘がてんこ盛りのテキストでした。
従来の音声学の常識を根本から覆す内容なので、音声学で飯を食ってる人からの反発、
それから、もともと英語の音にたくさん接していない初心者からのがっかりレビュー
などがあるのはしかたのないところでしょう。
しかし、「革命」とか「独創的●●メソッド」などと謳っている凡百の英語本とは
一線を画した素晴らしい内容だと思います。