The Pearl
価格: ¥1,620
この物静かな絶品のアルバムには、電子処理されたピアノによる一度聴いたら忘れられないアンビエントで詩的な音楽11曲が収められている。各トラックは、シンプルなコードやアルペジオやメロディーで作り上げられている。そして、それらの要素がしばしば繊細なささやくような電子音に引っ張られることで、夢見心地を生みだしている。たとえバッドとイーノがミニマリストのスタイルで作曲しレコーディングすることを選択しようとも、彼らのゴージャスでムードあふれる音楽は、一音一音が単なる一音以上の意味をもつ空間で響くことにより、さらなる効果を呼び起こしている。興味深い試みとして、「Against the Sky」と「An Echo of Night」では、同一のメランコリックな旋律を異なる楽器編成で演奏することに挑んでいる。前者は穏やかな電子処理を施した音数の少ないピアノ曲であり、後者は夜の屋外をバックにした陰鬱(いんうつ)なシンセサイザーの作品である(バッドはのちに1986年のソロアルバム『Lovely Thunder』の「Olancha Farewell」で再び同じ旋律を追求している)。見事なまでの音楽への理解によって作られたスローなバレエ曲とも言える本作は、ふたりがニューエイジ・ミュージック界に多くのフォロワーを生み出す以前だったリリース当時でも、オリジナリティーあふれるこの上なくアンビエントで印象深いアルバムだった。そして、20年後の今でも本作の新鮮さと生命力は失われていない。(Bryan Reesman, Amazon.com)