現代アメリカ文学を代表する女流作家の1人、アン・ビーティがニューヨーカー誌に最初の短編を発表したのは1972年。それから28年たった今、彼女はこの短編集で2000年度「PEN/Malamud Award for Excellence in Short Fiction」を受賞した。ワシントン・ポスト・ブック・ワールドによれば、著者アン・ビーティは「現代を代表する短編の名手」である。

   最新作11篇に描かれたのは、伝統的な家庭へと回帰する人々であり、自分自身の脆さに初めて気づいたり予想外の成功を手にして、環境の変化に直面する人々である。ビーティの、ことばの響きに対する鋭い感覚、複雑かつ鋭いウィット、そして人々に対する深い共感は、現代の他の作家の追随を許さない。

   2人の男が病気や芸術や労働の厳しさについての思いを交わし合う、哀愁に満ちた物語「The Famous Poet, Amid Bougainvillea」、有名なシェフが「ジョージ・ステファノポーラス」と名乗る男から迷惑電話を受け続ける「The Big-Breasted Pilgrim」など。これはビーティの創作活動中最も印象の強い作品集である。卓抜した散文作家によって書かれた、現代人の生き方に対する鋭い批評がここにある。