「銀河鉄道の夜」は、大好きなお話です。
ジブリの映画やＣＭの曲をたくさん作曲されている久石譲さんが「銀河鉄道の夜」のアルバムを出していたことを知り、購入してみました。
何度も読んだ物語の風景が、曲を聴いた時に心の中に広がりました。
ピアノだけではなく、いろいろな音色で奏でられる、久石さんの「銀河鉄道の夜」は、とってもきらきらしていて美しい曲ばかり。
ゆったりとした気持ちになり、本当に癒されます。
バイオリンとチェロの音色も、非常に美しく、心に響きます。
物語を読んだ方が一段と楽しめると思いますが、ＣＤだけ聴いても十分素敵な曲ばかりです。

「銀河鉄道の夜」の音楽といえば、圧倒的に細野さんの方がイメージが強かったのだが、
久石さんの音楽を聴き、なつかしい感情を呼び起こされた。
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」というと、魅惑・冒険・哲学・幻想的な意味では細野さんの方がイメージを崩さない。
しかし、久石さんの作品は非常に美しく柔らかで、心に染み込んで来る。
どうしてもジブリのイメージが強く、「あ、あの曲に似てる・・・」と思う時があるのは否めないが、それは決してマイナスなものではなく、プラスに働いている。
「銀河鉄道の夜」という作品を読んだか読まないかにかかわらず、僕たちの心に響く、麗しい音楽に揃っている。

久石譲の作品はジブリ映画のサントラくらいしか聴いたことがないけど、この作品はコンセプトアルバムだけあって原作を反芻しながら楽曲を楽しめれると思う。
温かくてもの寂しげな旋律がとても美しく、満天の夜空をイメージさせる楽曲は作り手の妥協しない姿勢が感じられる。

久石譲さんは、甘味なメロディーと親しみやすい音楽性をもっていることで有名ですが、この『銀河鉄道の夜』のアルバムで、久石さんの持つメロディーの魅力がよく堪能できます。技巧よりもメロディーの美しさでぐいぐいと聴衆を引き込んでいきます。音楽とは心で楽しむものだということを教えてくれます。天体観測をする時に、この音楽をかければ、もう最高の気分になれることでしょう。

ライナーの小画集も繊細で美しい、宮沢賢治の
『銀河鉄道の夜』のイメージアルバム。

最近では宮崎駿作品の、やや大げさな
オーケストレーションが耳に馴れた久石音楽だが
本アルバムを聞くと、決してパワーだけで押している
作曲家ではないことがよく判る。

月並みだが、リリカルなサウンドが
哀愁を中心とした感情や、夜空の広さを
呼び起こしてくれる佳品である。