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The Origins of Virtue: Human Instincts and the Evolution of Cooperation

価格: ¥1,385
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Penguin (Non-Classics)
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リヴァイアサンの悲劇 ★★★★★
人間の本性・道徳の進化について論じた本です。囚人のジレンマに互恵的利他主義の進化、その後は霊長類学や狩猟採集民の話から人間性の進化について語る、と、まあここまではベタな展開。進化心理学の類書に親しんでいる方にはちょっと退屈かもしれません。本書の魅力的な部分は後半で、生物学的進化から文化的進化へと巧妙に論点をスライドさせ、人類学、歴史、経済学、政治学の観点から道徳の進化(そして退廃)へと展開していきます。

最も印象に残った部分は、有名な「共有地の悲劇」を「リヴァイアサンの悲劇」として完全にひっくり返してみせたことです。リドレーは、そもそも「共有地の悲劇」というのがゲーム理論から演繹されたモデルに過ぎず、現実とは異なると指摘します。中世の羊飼いたちは自主的に取り決めを行い、共有地を活用して相互に利益を得ていた。しかし、近代国家の成立にともない領地が国有化されると、所有権を剥奪されたことにより、とたんに人々は利己性を発揮し、「共有地の悲劇」が現実のものとなってしまった。まさに悲劇を引き起こしたのはリヴァイアサンだったということです。私は素人なので、この説にどこまで信憑性があるのかはわからないけど、実に興味深く、面白く読めました。なお、リドレーはこの後さらに進んで、官僚主義の批判、反権力といった政治的提言にまで及んでいます。科学啓蒙書としてはいささか行き過ぎの感もありますが、まあそれはご愛嬌ということで。

物足りなかったのは、生物学的進化と文化的進化の区別が曖昧なこと。ミーム論によるアプローチを加えれば、もっと魅力的な本に仕上がったと思うし、リドレーならその能力もあると思うのですが、議論が複雑になるのを避けるため意図的にそうしたのでしょうか?
利己的な遺伝子の延長 ★★★★★
公式な商品説明には「利己的な遺伝子」(リチャード・ドーキンス)では説明できない、
とありますが、
本書は「利己的な遺伝子」の延長線上で理論を展開しています。
決して「利己的な遺伝子」を否定しているわけではありません。

利己的な遺伝子も生存するため、子孫を残すために必要なら協力する、
ということを述べています。
カオスな環境のなかで、遺伝子が自らを繁栄させるという利己的な行動のために、
同じ目的を持った利己的な遺伝子と手を組むということです。

進化心理学では「互恵的利他行動」と呼んでいたと記憶しています。

なお、サブタイトルの「他人をおもいやる遺伝子」は、邦訳時に追加されたものです。

無私の愛を遺伝子に求めることは、はかない夢です。
であるが故に、人は進化した脳で他人をおもいやることが重要だと思います。

面白かったです。 ★★★★★
翻訳がいいです。読みやすくて的確で流れもいいし。
この手の本の翻訳としてかなり上等の部類に入るのではないでしょうか。