「基本編」にあたる本書では、まず、最初にVBの現状から見たVB.NETの必要性が記述されている。VBが抱えている問題が、どのように改善されているのかを知ることができる。次に、VB.NETがどのように変わったのかが記述されている。どうやらVB.NETの開発者たちは、VBユーザーがなるべく抵抗なくこの言語を使えるようにと頑張ったようだ。確かにVB.NETは大きく変わったが、なじみ深いプログラミングスタイルは、かなりの確率で転用が利くことがわかるだろう。また、共通言語ランタイムに関して、各言語間の相互運用に必要なルールが解説されている。
次に、Windowsフォームについて解説されている。こちらは従来のフォームに比べ、高度で使いやすいものになった。たとえば、従来APIを使わないと実現できなかった「常に前に表示するウインドウ」などは、プロパティで設定できるようになった。そのほか、ActiveXコントロールの代わりであるWindowsコントロールの作成方法や、オブジェクト志向プログラミングによるVBプログラムの書き方が解説されている。これらの目的は効率的なプログラム開発を実現することであり、大きな変更部分である。
本書は幅広い内容を取り扱っているが、全体的に短いサンプルプログラムを使って解説されているため、理解しやすい構成になっている。内容も高度で詳しく解説されているため、読みごたえがあり、VB.NETをマスターするための1冊として有用だろう。(川藤一真)