上質ジャズ・ボーカルアルバム
★★★★★
数あるヴァレンテの中でも、とても上品で瑞々しさを感じるニューヨーク録音作品(1957年作)。
全編ジャズ・ボーカルものということだが、ヴァレンテの強烈なパンチのある歌唱は、どちらかというと抑え気味で、26歳という若さ溢れる伸びの良い歌声をストレートに生かした作品となっている。
そして、バックを受け持つサイ・オリヴァー楽団の演奏もとてもドリーミーで、古き良きアメリカを存分に感じさせてくれる。ジャケットのニューヨークの街角で手を上げるヴァレンテの溌剌としながらも上品な佇まいは、まさに音のほうにもしっかり現れている。
なお、このCDの良いところは、ブックレットがとても充実していて、ヴァレンテの麗しの容姿をたくさん拝めるところだ。世界を股にかけて活躍したヴァレンテ、こんなにも活き活きとした様子でレコーディングを行なっていたんだなということを知ると、なんだかうれしくもなる。