この物語のヒーロー、ヒロインは知的で思いやりがあります。完璧じゃないところも人間味があっていいです。ヒーローが「自分の欲しいものが二つあっても、一つしか取れないのなら、私は迷わず●●をとる」と考えるとことか、誠実さを感じました。こういう情熱的なんだけど知的なロマンスってありそうで少ないと思います。ロマンスだけではなく、事件の過程や真相がしっかり書かれていて、都合のいい無理矢理展開がありません。（感情的になって無茶したりする事はありますが、行動する理由になった感情に説得力があります）この作家さんの他の小説も、同じような知的な説得力がありました。個人的に注目したい作家さんだな〜と思いました。

子爵の孫のヒーローは　当分回ってきそうにない爵位をあてにせず
自立しようと　地所経営に乗り出すが、　
スキャンダルのために勘当されて　借金が返せなくなり、
早急に　裕福な女存続人との結婚する必要に迫られていた。

ヒロインは　イタリアの伯爵未亡人。
ヒロインの姪の求婚者と
その姪を守ろうとする後見人として　出会った２人。
財産目当ての求婚者なんて、と激しい拒否反応を示すヒロインと
そんなヒロインに　なぜか強く惹かれてしまうヒーロー。

ヒーローに姪との結婚をあきらめさせようと　あれこれしている間に
姪は　謎の失踪をとげ、途方に暮れるヒロイン。
ヒーローは　そんな彼女が放っておけず、
自身の借金返済の期日が迫っているのにもかまわず、
ヒロインを　自分の実家に預け、自分は別居して　姪探しに奔走します。

スキャンダラスな過去を持つヒロインと
貧乏（！）なヒーローという　中々ないタイプのカップルですが
苦労している分、いい意味で　２人とも思考が現実的で
なのに　相手にはメロメロで…
こんなことしてる場合じゃないのに〜（金策しなくちゃ）
でも　彼女を放っておけない　　　　　　　　　　　　BYヒーロー
彼は　裕福な令嬢と結婚するべき、私は身をひかなくては　
でも　彼からは離れられない〜　　　　　　　　　　　BYヒロイン
リアリティーのある　大人の恋愛、ですね。

これがこの作家の初邦訳作品だそうですが
何も考えずに読んだら　予想以上に　よかったです。
無垢な時代につらい目にあった（処女でない）ヒロインが
誠実なヒーローの真実の愛で癒される、というパターン　
私は大好きです。