ムーアは企業の長期的目標達成の手助けになるこの問題の改善法を提案している。彼はマーケティングのプロに、このキャズムをゆっくりと通り抜けるすべを教え、すぐに主流のマーケットを開拓しようとするのでなく、プロフィールを作り、マーケットの特定のセグメントにターゲットを定めることを指導している。彼はキャズムを渡った成功例としてアップルコンピュータ、タンデム、オラクル、サン・マイクロシステムズなどの会社を引用しており、彼らが共通して持っていたものを示し、彼らの戦略における各々の違った弱点を暴いていく。
またムーアは、プログラマーとデベロッパーが「製品モデル全体」をデザインすることを提案し、彼らへ成功実現のための責任を割り当てている。デザインにあたっては、インテグレーション作業は主流マーケットの顧客にとって気の引けるものなので、技術製品のすべての構成要素は1つのパッケージに収められなくてはならない。ムーアはまた、ライバル企業と競争するためのターゲットとするマーケットに進出する際に、最適な流通チャネルを見極めるための戦略についても述べている。
マーケティングの専門家だけではなく、自分たちの将来が1つの技術製品の成功にかかっているすべての社員のために書かれた本書は、興味をそそる読みやすい文体で、きわめて重要な情報を提供している。