内容は、中国の国土や人口、言語、共産党の経済政策や司法制度などの基礎知識の紹介から中国の会社制度や株式市場の問題点までかなり詳細に解説しており、豊富な知識を仕入れることができる。特に中国最大の経済都市、上海の説明に関しては、市場イメージを包括的に理解するのに必要な統計データを豊富なグラフを用いてわかりやすく解説している。
WTO加盟とITビジネスにウェートが置かれているが、ITビジネスに関しては、中国政府が最も力を入れ、かつ最も成果を出している分野であることをかんがみ、特に重点的に解説している。中国政府の産業政策や企業、人材の競争力向上を知るうえで最適なテーマであり、ITと直接関係のない業界の人にも読んでいただきたい内容だ。また、台湾最大のIT関連業界団体である台北市コンピュータ同業協会の協力を得て、台湾から見た中国ビジネスという切り口で書かれているのも特徴的だ。
巻末には、付録として2001年度のIT企業ベスト100社の営業収入や利益総額、研究開発費一覧表と、ソニーなどのグローバル企業の中国語社名一覧のほか、日本語で読める中国情報サイトの紹介もあり重宝する。(依田泰典)