オイル・オン・フォトは掲載されていません
★★★★☆
付属のDVDは8分と短いが実際にリヒターが話す映像は初めて見たので、なるほどこういう人なのかと思い参考になった。
本は作品、解説ともに「リヒターの全貌」がよく分かるよう充実した内容になっている。
なお、勘違いしている人がいるようだがこの本には「オイル・オン・フォト」、つまり写真に直接ペイントした作品は掲載されていない。
個人的には、彼のオイル・オン・フォトを高く評価したいので、この点は残念である。
最高の画家、最高の作品集
★★★★★
ゲルハルト・リヒターは現代で最高の画家である。フォトペインティングによる具象やそれ以外の抽象も、コンセプトを理解せずともその色使いや描写力は群を抜いている。この作品集は安い値段で代表作のほとんどを観ることが出来る優れ物。印象派やピカソ止まりの人にぜひ観てほしい。現代で最も優れた美的感性に触れられるだろう。ところで、DVDに出てくるドイツ人のすべてが流暢に英語を話す。日本人の知的能力を一瞬疑いたくなった。島国日本はやはりダメだな。
ドイツ現代芸術の巨匠
★★★★★
2005年に金沢と佐倉で開催されたリヒター展の内容を知ることができる本です。これらの展覧会自体も,デュッセルドルフやミュンヘンでの展覧会をベースにした内容のようです。
一見すると写真のように描かれたフォト・ペインティングやアブストラクト・ペインティングなど,リヒター芸術の真骨頂を楽しむことができます。ただ,12枚のガラスの作品等,やはり実際の展覧会で見た方がより良さを実感することができるということは否定することができません。
本にはDVDの付録があり,そこにはリヒターのインタビューも収録されています。リヒターはその中で作品は展示の仕方によってその意味合いを変えるということを述べています。私は佐倉で見ましたが,金沢での展覧会にはまた違った意味合いがあったかもしれません。
展覧会との比較
★★★★★
写真には物質感が伴う。特にモノクロのザラザラした像には実物以上に、モノとしての見え方が存在してしまう。リヒターのフォトペインティングは、離れるとブレた像になり、近づくとハケのテクスチャーしか存在せず、いっこうにモノがあらわれない。
通常、広告写真にはメッセージが付加されている。僕らはそれが広告写真だったことを知らされることで、メッセージの欠如を見る。写真が作る像には、現実よりも匿名性が宿る。前後の文脈が欠如したのにも関わらず、あたかも現実のように現前するから。
「モーターボート」は、「広告写真を油絵で写し取りブラせる」ことで、向こうにあったはずのモノを完全に消し去り、メッセージを欠如させ、匿名性を宿らせる。3重に失った現実からは、「像」としての美しさと、追い求めるこちら側の焦燥ばかりが目立ってしまうのだった。
単純にセンスがいい
★★★★★
アトラス、ガラス作品、抽象絵画やグレー、ペインティングフォト・・・
リヒター作品の全体像が掴める
リヒターのオイル・オン・フォト作品の実物を見ると、
印画紙と絵の具がレイヤー的にくっきり分かれて認識されるので
実はあまり感激しないのですが、
画集に収まると一つの相に凝固する為
異彩を放ちます。
だからこの画集のオイル・オン・フォトは
実作品よりも素晴らしいと思います
リヒターはデュシャンと同様
理論的な事ばかりとりあげられている気がするが
やはり基本的にこの人の作品は
構図、配置、色彩、造形等が
単純にセンスがいいしかっこいい
(デュシャンの例の便○作品が
飛行機やオーパーツを連想させるような絶妙な位置に
ちゃんと置かれているように)