2002年現在Javaには、3種類のプラットフォームが用意されている。その3種類とは、JDK1.1からバージョンアップされた基本仕様のJ2SE、携帯電話やPDAなど組み込み向けの仕様であるJ2ME、J2SE上にサン・マイクロシステムズが提唱する企業情報システム構築用の各種APIなどを提供した仕様のJ2EEである。

   本書は、J2EE SDKを使用してJ2EEアプリケーションを開発するための、サン・マイクロシステムズ監修によるプログラミング入門書である。多くの例題を中心にJ2EE SDK ver1.3.1の特徴と機能を説明している。J2EEアプリケーションの開発を始めようとしている Javaプログラマを対象に、J2EEの概要からJ2EEアプリケーションの簡単な開発手順、サーバープラットフォーム上で動的なコンテンツを生成することができるサーブレット、動的コンテンツと静的コンテンツの両方を簡単に作成できるJSP、 J2EEアプリケーションの重要な機能をもつEnterprise JavaBeans、そして、セキュリティ、トランザクションといったJ2EE プラットフォームのコアとなるテクノロジーについて効率よく学習できるように構成されている。

   本文中には、内容に沿った例題が豊富に用意されているが、これらの例題を理解するためにはJava言語、SQR、リレーショナルデータベースの知識が必要である。例題のサンプルコードは、Webサイトからダウンロードすることができるように配慮されている。巻末の付録では、J2EEクライアントがJ2EEサーバーとの通信に使用するhttpプロトコルの簡単な情報、J2EE SDKに付属する多数のツールに関する例題の一覧、サンプルアプリケーション実行時の注意等が述べられている。

   本書の例題と解説は、J2EEアプリケーション開発の初心者から実績を重ねた熟練の技術者まで、幅広い層にとって貴重な情報源となるであろう。（大塚佳樹）