不朽の古典
★★★★★
経済的な要素のみによって、あるいはそれを主な要因として、現在の資本主義社会の形成を説明しようとする見解に異論を唱え、宗教文化であるプロテスタントの倫理が資本主義社会に特有の精神を育む温床となったということを、様々な具体例を挙げながら論じた古典的名著。
近代特有の合理的精神は、極めて非論理的な思考に端を発する、というパラドックスの指摘は興味深い。ウェーバーを近代礼賛主義者として読む見方もあるようだが、目的達成の道具としての合理性を増すことによって近代が様々な偉業を成し遂げたということを一方では認めながら、他方、近視眼的に成りすぎることによって何か重要なものが等閑視されているのではないかという懸念が、ウェーバーの筆致からは感じ取れなくもない。